1988年 無認可作業所の設立
昭和55年、障害のある人達の自立と社会参加を願い「香我美町手をつなぐ育成会」が設立。その後、昭和57年に旧香南5ヶ町村(野市、香我美、夜須、吉川、赤岡)による「香南地区手をつなぐ育成会」へとつながる。当時、特別支援学校卒業後の進路に関しては「働く場所がない」「住み慣れたまちで過ごせる場所がない」といった地域の課題がある。「家族と暮らしながら地域で過ごしたい」「仲間同士で集える場が欲しい」…そういった本人、家族の思いを踏まえ、昭和61年より作業所設立運動が開始。用地探しに難航するものの、関係者が一丸となり資金集めや必要性を訴える。行政関係を含め多くの地域住民の協力も得ることができ、昭和63年7月に無認可作業所である”くろしお作業所”が利用者5名からスタートする。
1994年 香南くろしお園設立
2017年 香南くろしお園 事業所移転
香南くろしお園では無認可作業時代から「利用者主体」と「地域交流・参加・貢献」を大切に事業運営を行う。平成6年に岸本地区に設立した施設は、周辺住民との交流が日常にあり、困った時には互いに支え支えられるといった関係性にもあった。状況に変化が生じたのは平成23年3月の東日本大震災。施設からすぐ50m先にある、普段は穏やかな波音と浜風を運んでくれる太平洋が、未曾有の大災害時には脅威に変わることを知る機会にもなった。同年、利用者の人命を最優先に考え事業所の高台移転を判断。設立当初より20数余年を経過する中で「利用者数増加」「重度高齢化」といった課題も抱えていたことから、移転時には「この先も安心して過ごせる施設整備」を重視し計画を進める。用地探しで過去の建設時同様に難航するが、ここでも助けられたのは地域住民と行政。香南市香我美町下分(山南地区)に用地確保を行い、平成23年より始まった高台移転事業は、約6年の歳月を重ね無事に完成に至る。